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おりひめ23 [おりひめ]

国  体  Ⅱ

山岳部でのトレーニング 2 年間の成果がどれ程のものか、いやそれ以上に、仲間の必要性を教えてくれ、気持ちの良い思い出を残してくれた。それが高校生活 2 度目の国体であった。

 

仲間と山に登り始めて早 2 年。同じ服、同じ靴、同じザック、同じ帽子、そして同じ山を登ってきた仲間がこの大会で 2 名に減らされる。
その 2 名が去年体力チームとして奮闘した奴だから困ったモンだ。この 2 名と山を駆けずりまわることを考えると体が重い。どうなるかは「水戸黄門」の結末のように目に見えてわかっている。
体力でだめなら頭で勝負だ!と張切ってみても、得意の天気図が今年は無いときた。
それなら仕方無い、定点確認で点を稼ごう。それしかない。「スタート!」
三条東 D チームの出発だ。さすがに大会役員の前では調子良く足が出る。しかし数分後、思ったとおりの展開となった。体力の差を改めて感じた。ほんの15 キログラム程度のザックが足を上げさせてくれない。これが最初の難関「スキー場直登」の前の姿である。情けない。この 2 年間のトレーニングはやはり少なすぎたのだろうか。

スキー場を登りきると先に行った2人が待っていてくれた。「持つべきものは友である」という言葉が脳裡をかすめた瞬間、
目の中に地図とコンパスが飛び込んできた。
「定点確認だ。やれ。」気が狂う程疲れているのに正確に読図できるわけがない。おおよそこの辺だろうと印をつけると、
2人は早く来いと言わんばかりに走って行く。
このようにチームの仲間は定点確認の所で待っているだけであとはとっとと飛んでいってしまう。
「畜生」こんな大会に勝って何になるというのだ。こんなつまらない登山は他にない。この大会に対してというよりもむしろ、
やけになっている自分自身に対して腹が立っていた。
こんな文句を言っているのは、自分の甘えにすぎないのだ。

【♪涙の海に泳ぎ疲れてもあきらめるための舟に乗り込むな♪】
 こんな歌が頭の中にこだまする。
今まで山を登り続けてきたが、いつも頂上という目標があり、必ずそこへ着けると信じていた。しかし今回はゴールがないように思えてならない。
この路を走り過ぎた後には何が待っているのか。わからない。(少なくともこの時はわからなかった。)

ー垂れた頭を上げると先に行った内の一人の顔があった。そいつは、今までになく穏やかで、「少し休もう。」と声をかけてくれた。半ばあきらめているのだろうと思った。
2分程座っていると、こんな所で何をやっているのだという気持ちが頭を駆けめぐる。
更に重く感じるザックを持ち上げ懸命に走るがスピードが出ない。これでは絶対に悔いが残る大会になることは十分承知なのだが体がついていかない。
これほどチームの足を引っばっている自分に、仲間はザックからスポーツドリンクを取り出して飲ませてくれることをやめない。なんとかして仲間に憑いて( ? )行こうと思っていると、やっとゴール寸前に設置されているペーパーテスト会場に到着。

テストを終わらせ、ゴールに転がり込んだ。「ごくろうさま。」と、先に到着したチームの人がポリ夕ンクを差し出す。
その水をガブ飲みしていると、ようやく三条東山岳部の一員に還ったような気がした。思えばこの喜びにも似た安心感が、
2年間ずっとついて回っていたようだ。
「山」自体も確かに好きだ。が、それが自分をこの部活に引きつけておいたすべてではない。この山岳部、この仲間が好きなんだ。

温泉に漬かり、サッパリとしたところで、いざ表彰式。三位、三条東 D チーム。」奥歯と握り拳で喜びを抑え、講評も耳に入らぬまま大会終了を迎えた。

おりひめ23号より転載
某君は、高校在学中2度も国体に出場したんだ
羨ましい・・・ 


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